2006さくら道国際ネイチャーラン
2006/4/22〜23 愛知県名古屋市〜岐阜県〜富山県〜石川県兼六園(250km)
天候 : 晴れ時々曇り (最高22℃、最低5℃くらい?)
記録 : 25時間39分 (1位) ・・・最年少優勝、らしい。
大会HP : http://www.shirotori.gr.jp/~kankou/
Myアルバム : http://www.geocities.jp/matsutake_spartathlon/catalog.html
(走りながら撮ったデジカメ写真約350枚など)
今年もついにやってきたさくら道。名古屋から金沢までの250km。去年は補欠から急遽参加できることになったが、今年は実績が考慮されて堂々参加できることになった。ゼッケンNo.は「9」。ちょっと荷が重い気もするが、去年よりは確実に走力がついているはず。去年秋のスパルタスロンの時よりも。去年走ってみて非常に楽しかったので、今年もとてもわくわくしてさくら道を迎える。
1. さくら道国際ネイチャーラン
主 旨
太平洋と日本海を結ぶ266kmの道を、桜のトンネルで結ぼうと決意した男がいた。
御母衣ダム工事で、水没する山寺の樹齢400年を数える桜の古木が移植され、見事に蘇ったその生命力に感動したからである。
その男は名古屋と金沢を往復するバスの車掌・故佐藤良二氏である。
彼はバスの走る道沿いに、桜の苗木を黙々と植え続けた。
乏しい蓄えを注いだ。少ない休暇を使った。
2000本も植えただろうか。男は病に倒れた。
志半ばで力尽き、逝った。47歳の短い生涯だった。
清貧という言葉が改めて見直される今、「人の喜ぶことをしたい」と病魔に侵された我が身を顧みず、無償の行為を貫いた佐藤氏の生き方は、貧しくとも豊かな心を持つ、人間の幸福な姿を問いかけてくれる。
佐藤氏が夢みた″さくらのトンネル″を、走り抜けるという形でその遺志を受け継ぐとともに、「太平洋と日本海を桜でつなぐ」という大事業の完成に少しでも寄与できればと考えて、今回『太平洋と日本海を桜でつなごう
2006さくら道国際ネイチャーラン』を開催する。
〜大会ホームページより
「太平洋と日本海を桜でつなごう」―とても壮大な考えだ。この故佐藤良二氏の生き方に感動した。その道を自分の足で走ってみたいと思い、そして去年見事完走できた。その32時間あまりの間、佐藤氏の生き様が頭から離れることはなかった。疲労困憊になりながらも、気持ちはとても充実した最高の時を過ごした。そして2006年、あの感動を再び・・・。
2. コース上の見どころ
名古屋城・・・スタート地点。金の鯱が有名。
白鳥町・・・大会を主催している。地元の人の声援が温かい。この時期、桜が満開。
荘川桜・・・御母衣ダム建設時に、ダム湖の上に移植された桜。桜は移植して再び花を咲かせるのが難しいといわれるが、毎年見事な花を咲かせる。その生命力には感動する。この時期でも、まだつぼみ。
白川郷・・・合掌造りが世界遺産に登録されている地域。その合掌造りの家々の横を走っていく。
五箇山・・・山越え。景色はいい。でもきつい。
兼六園・・・ゴール地点。日本三名園の1つ。
3.コース攻略のポイントと作戦
コースは、名古屋城から金沢・兼六園までの250km。制限時間は36時間。
今年の作戦は、100kmまでは55分/10kmペース。あとは60分/10kmが目標。
岐阜市(30km)・・・ウォーミングアップ。そろそろ上り始める。
美並村(70km)・・・そろそろ疲れてくるはず。
白鳥町(107km、CP)・・・一息入れる。夕方。桜が満開のはず。
ひるがの分水嶺(130km)・・・最高地点。ウェアを冬の夜仕様に。
荘川桜(143km、CP)・・・明るいうちには見えないだろう。残念。
白川郷付近・・・走りながら眠らないように。合掌造りは闇の中。
五箇山(210km)・・・激しいアップダウン。順調ならそろそろ夜明け?
兼六園内佐藤桜(250kmゴール)・・・感動再び。
4.大会前日(開会式)
スタート前日に開会式とオリエンテーションが行われるため、名古屋入り。今年は去年のように駅の階段から落ちることもなく、万全の体調で大会を迎えられる。今回は2回目ということもあり、要領も分かっている。そして、久しぶりのランナー達の顔を見ると不安な気持ちが少し晴れ、「よし頑張ろう」という気になってきた。
この大会の出場選考は厳しく、かなりの実績がないと参加することができないのだが、今年は参加者数が100人弱まで拡大できたとのこと。ただ、去年より外人ランナーが少ない気がするのが少し残念。
明日は朝5時半集合、そしてできれば寝ずに翌日まで走りぬきたいので、早めにベッドに入り寝だめをしようとした。が、9時にベッドに入ったのに11時でもまだ寝付けず。気持ちが高ぶっているからかもしれないが、普段こんな時間に寝ないからだけかもしれない。
5.さくら道を 〜名古屋から金沢へ
いよいよ大会当日。朝4時半起床。朝5時半には名古屋城へ。門の前にはランナーはもちろんのこと、応援の人たちも朝早くからたくさんいる。やや雲はあるが天気はまずまず。少し肌寒いけど朝早いからだろう。天気予報では、明日にかけて雨になるらしい。でも雨が降ったら、そのときはそのときだ。雨の用意は何もない。そんな先のことは考えていない。
そして朝6時。第1グループがスタート。道路が混雑しないよう警察の指導の下、3分差ずつの時差スタート。最終は6時15分で、僕は第5グループの6時12分スタート。名古屋城築城400年に向けて本丸復興の活動中とのこと。名古屋城の協力もあり、今年は本丸を通って名古屋城から出発。もちろんスタートは佐藤氏が植えた桜の木。これに触ってからスタート。
250kmという途方もない距離に対しては、特に設定ペースはないといってもいい。自分にとって走りやすく、どこまでも走れそうなペースで行く。ただ、1km5分を切るほど速くは走らないようにだけ気をつける。すると、あっという間に飛び出してしまった。かなりゆっくり走っているはずだし、同グループに実力者もいるのに。韓国のランナーだけが着いてくるが、しばらくすると一人旅が始まってしまった。序盤は前のスタートのランナーたちを追い抜いていく。それでも、しばらくすると最初のスタートのランナーも追い抜いてしまう。20km行くと、もう前には3人しかいない、と。
20km通過が約1時間40分のキロ5分ペース??待てよ。「10キロ55分でいいペースだ」と思っていたら、5キロ25分じゃないか。間違えた。飛ばしすぎたと思ったけど、快適なペースなのでしばらくこのまま行くことにする。少しでも疲れたと感じるようになったらペースを落とす。
木曽川を渡り、30kmを過ぎると岐阜市街へ。30kmというと、「結構走ったなぁ」と感じるのが普通なのだが、今日に限っては全然そんなことは思わない。「あぁ30kmかぁ」。約5kmおきにあるエイドステーション(給水・給食所)には、いろいろな飲み物や軽食がありとても心強い。どこでもそうだが、何よりその係りの人たちがとても温かくて気持ちいい。ずっとここにいたくなるくらいだ。
岐阜を越えると、コースは徐々に上り始める。ペースは相変わらずキロ5分。脚は元気でなんともないが、やたらとお腹にガスがたまる。腹筋に力が入ってしまい走りにくい。
前に1人ランナーがいるらしいが、全然他のランナーに会わなくなった。「去年はここで誰々に抜かれたなぁ」とか「ここにはこんなのがあったなぁ」とか思いながら走る。去年の太鼓の人たちは今年もまたいた。国道の案内板には、今年もネイチャーランの案内が。
じわじわ上っているのは感じる。そしてもうすぐ50kmのエイド。キリがいい数字なので、ひと息入れよう。あそこにはそうめんがあるはずだし。
10時25分、50kmのエイドに到着。4時間13分でほぼキロ5分。あのピンクのウインドブレーカー、ピンクの横断幕。あれがエイドのしるし。あれがとても心の励みになるんだ。この先特に。
例によって写真を撮っていると、「去年デジカメ持って走ってたひとでしょ?」覚えていてくれたみたい。うれしい。そして「そうめんはどこだ?」とひそかに探していたら、「目がそうめんを探していた」と見破られてしまった。そういえば、ここまであまり飲み食いしてないなぁ。早めにちゃんと食べておかないと持たなくなってしまうぞ。調子が良かったもんだから忘れてたけど。
田畑が広がる地帯から、山が迫る長良川沿いの道へ景色が変わっていく。山が近づいているんだ。景色はきれいになっていくが。
天気はいいし、川の水はきれいだし、調子はいいしで非常に気分がいい。そして、ついに前のランナーを捕らえて先頭に立ってしまった。60km過ぎ。去年はここでは強烈な向かい風に苦しめられた気がする。今年は走りやすい。
「日本の真ん中」という美並の道の駅。65kmのエイド。去年結構付いていてくれた自衛隊の人たちは今年はあまりいてくれない。早すぎるからか?
長良川沿いの美しい景色のなかを北上していく。道沿いの桜は徐々に花びらをつけ始める。季節が戻っていく。白鳥町は満開らしいが、もう少しか。
徐々に坂がきつくなってきた気がする。急な上りはちょっときつくなってきた。そんなに暑くない気がしていたし、あまり汗をかいていないと思っていたので、給水・給食をあまり取らないできていた。「背中すごいね」汗の塩分がたくさん付いているとのことだ。「そうか、結構汗かいてたんだ」血液中の塩分が足りなくなるとぼーっとしてきてしまうので、塩をなめることにした。「お塩ありますか?」「ないけど取って来るから待ってて」「なければいいですよ」「いや、すぐだから」家から塩を持ってきてくれた。
90kmを過ぎ、7時間半。このままだと100kmの通過が、100kmマラソン自己ベストの8時間50分より早くなってしまう。大丈夫か?脚はまずまずだが、何だか気持ちが悪くなってきた。呼吸が上がると光化学スモッグにやられたときのような苦しさがある。ついに一瞬歩きが入ってしまう。ペースはダウンだ。
北上を続けてきて、ついに桜が満開になってきた。いよいよこれからが”さくら道”だ。
100km通過。8時間30分で、予想通り自己ベスト更新。意味がないぞ。ただの飛ばしすぎで気持ちが悪い。もうすぐ白鳥町のチェックポイント(CP1)なので、そこまで頑張ってそこでしばらく休憩しよう。
午後3時過ぎ、白鳥町に到着。去年はボーイスカウトの少年が併走して連れて行ってくれたのに、今年はいない。商店街にも出迎えの人が少ない。一番始めだからか。CPの直前でボーイスカウトの集団とすれ違った。そして、ようやくCPに到着。
きつくなってきたし着替えもあったので、いすに座って休憩。何か食べておきたいが、気持ち悪くて食べられない。おかゆをもらって無理やりお腹に入れようとするが、食べられない。去年この商店街で買った胃腸薬を飲む。預けてあった長袖シャツを中に装備。
「後ろは30分離れている」大会スタッフが話しているのがちらっと聞こえた。「韓国人が追い上げている」でも僕はペースダウンだ。それでも負けたくはない。気持ちを振り絞って席を立つ。先へ行こう。
呼吸が速くなると苦しくなるので、ちょっと走って歩いて呼吸を整えて、と進む。このくらいなら、しばらくして気温が下がってこれば回復するだろう。しばらく我慢だ。ますます上りがきつくなってくる。桜はつぼみに戻ってくる。去年はこのあたりで日が暮れたので、このあたりの景色は初めて見る。
午後5時半、120km付近。最高地点のひるがの分水嶺への上りを前に、ついに走れなくなった。歩くのもつらい。エイドに入り座り込んだら、動けなくなった。ここまでか?
気分が悪くて動けず、食べれず、時間が経っていく。韓国人が元気に追いかけているらしい。去年前半飛ばしてこの辺でリタイアした先輩と同じように、きっと僕もつぶれるだろう、とみんな思ってるだろうな。でもそうはいかないぞ。負けてたまるか。走れないにしても、とりあえず前には進もう。気持ちを入れて、何とか歩き始める。
この先、次のエイドまでの約5kmはひるがの分水嶺までの厳しい上りだ。どうせ走ってもきついんだから歩いていたっていいや。
ヘアピンカーブをどんどん上っていく。歩いて。振り返ると、一気に登っているのが分かる。そして、脇には残雪が多くなってきた。この時期でも昨日は30cmも積もったらしい。
ん?何だか少しずつ気分が良くなってきた気がするぞ。この上りではずっと走ることはできないが、ちょっとずつは走れるようになってきた。
長良川の源流をこえ、ひるがの分水嶺を通過。上りきったぞ。このすぐ先にはエイドがある。着替えやライト等の夜セットが預けてあるので、少し休憩してここからだ。
午後6時。ひるがののエイドに到着。さぁ夜用装備に着替えよう。みんな僕の到着を待ってくれていたようで、とても温かいエイドだ。みんなで僕の着替えを見ている。何だか恥ずかしいぞ。写真も撮られたぞ。とても楽しい時間が過ごせ、もっとここにいたいくらいだったが、復活してきたようだし、ここで結構後ろから詰められただろうから先へ行く。そろそろ日が暮れる。
今度は下り。完全に復活したようで、快調に走る。詰められただろう差を取り戻そうという気持ちも少しある。辺りは何もないが、所々にある外灯には灯がともり始めた。そろそろヘッドライトの出番だ。長く暗い夜が始まる。
夜。外灯も少なく、ヘッドライトが照らすすぐそこの足元しか見えない。荘川桜まであと数km。明るいうちには間に合わなかったか。下りということもあり、快調な走りが戻ってきた。
夜7時半。143km地点の荘川桜、CP2に到着。楽しみにしていた荘川桜。しかしその枝には、まだつぼみすらつけていない。辺りも暗くてよく見えない。それでもこの巨木から力を分けてもらおう。
ここにもさらに上着が預けてあったので装着。首に長袖を巻き、腰にも上着を巻く。もっと冷えてきたらいつでも着れる様に。そして、意外と首巻が暖かくていい。
真っ暗な道、寒い道、細かくアップダウンする道を、約5kmおきにある明るくライトがついたエイドを心の支えに進む。そういえば今日の夜から雨の予報が出ていたんだっけ。今年は月明かりがない気がする。去年は満月で天気がよかったから、月明かりが明るかったっけ。真夜中になっても、エイドでは賑やかに迎えてくれる。元気をもらえるきがしてありがたい。
夜10時過ぎ。170km付近の白川郷に到着。世界遺産の合掌造り集落で有名なところ。去年も真っ暗だったが、やはり今年も真っ暗。とても楽しみに来ているのだが、いつも暗くてよく見えない。ライトアップされている家をとりあえず写真におさめておく。
がけ崩れがあって、復旧工事が行われているところもある。ときどき現れる集落を通り過ぎていく。
この大会は伴走は禁止されているが、いろんな人が車で時々様子を見に、そして励ましに来てくれる。去年走った人たちや、大会前にメールをくれていた初めて会う人などから、たくさんの力をもらいながら先へ進む。
もうすぐ200km。ちょうど200km地点辺りには五箇山越えがある。ここは全行程の中で最も激しいのぼりである。こんなところであの上りでは、走って上れるはずがない。歩いて上ることには決めているが、それにしても、そろそろまた疲労がやってきて歩きが入るようになってきた。山のふもとのエイドで少し休憩。翌日日曜日の1時45分。去年はここで6時15分。去年より4時間30分早い。去年はここにいるときに優勝者がゴールしたっけ。ほぼ50km差だった。今年は僕が先頭だ。そばをずるずる。流し込めるものくらいしか食べる気がしない。
いよいよ五箇山越え。坂が急なため、とても走って上れる気がしないので、はじめから歩いて上ることに決めていた。前のエイドでペットボトルの飲み物をもらって、飲みながら上る。去年は朝になっていて明るかったが、今年はまだ真っ暗。「こんな道だったかな?」
ここで追い上げられている気もするし、あせる気持ちはあるけど、まだあと50kmもあるので無理しても仕方がない。そしてようやく上りきり、トンネル前のエイドに到着。歩いていただけだったのですぐに出発するつもりが、やっぱり座り込んでしまう。長いトンネルへ向け、そして「さぁ、終盤戦だ」
5kmほどの長いトンネルを抜け、一気に下り。去年はここで膝が壊れた。ここから見下ろす景色が良かったのだが、今年はまだ午前3時。真っ暗で何も見えない。
午前3時半。下りきって212kmのCP4に到着。去年はここでたこ焼きを食べた。今年も「たこ焼きありますか?」まだ焼いてなかった。「ちょっと待っててください」せっかく焼き始めてくれたが、焼けるまで待っているほど休むつもりはない。後ろは20分差くらいまで詰めてきているようだし。それでも一つもらった。半焼けだった。半焼けだとお腹に悪く、この先きつくなるからやめとけと言われたのに。しばらく前から僕の前や後ろで付いてくれている大会本部の人からも、時々声をかけてもらう。
この先は田んぼか畑かが広がる、開けた地帯。はるか前方に信号機の光が見えるが、直線が長い。平坦なのに次のエイドまでの5kmを走り続けることはできない。脚はだるくなり、燃料も不足気味。故障はないけど、お腹は弱っていて補給できない。
エイドでサインを求められる。サインなんかできないと言うのに、大会ウインドブレーカーの背中に名前を書かされた。普通に名前を書いた。
朝5時近くなり、ようやく空が明るくなり始めてきた。220kmを過ぎ、あとハーフマラソン一本ちょっと。ようやくゴールが見えてきた気がする。しかし、ここからまた細かなアップダウンが始まる。おまけに疲労もピークになり、歩くのすらきつくなってきた。道の駅のエイドに何とか到着したが、長時間休憩しないとだめだと思った。それでも「上りは歩いてもいいから、平らと下りは頑張って。何でもいいからお腹に入れて。ヨーグルトなんかどう?」実力者からのアドバイス。お腹は機能停止状態だが、ヨーグルトなら流しこめる。上りは歩いてもいいといわれ安心。とても力をもらえた気がする。もうだめだと思っていたのに、気力がよみがえる。平らと下りは頑張って走ろう。
まだ桜は満開。去年はこの辺りはもう散っていたが。何とか気力だけで前へ、上りは歩くがそれ以外は何とか走る。後ろが気になって仕方ない。あの人はタフだから絶対迫ってきている気がする。
ついに石川県金沢市へ。しかしこの県境の上りがきついんだ。それでも去年より道がきれいになっていて上りやすい。去年は狭い道で交通量もかなり多かったが、今年は朝早いせいか車はいない。歩く上り坂で後ろを振り向くと、後ろにランナーが見えた気がした。幻だったことはあとで気づくが。
午前6時過ぎ。24時間で234km走った。あと15km。そしてもうすぐ平坦な金沢市街だ。最後のアップダウンを気力で越えていく。後ろから追いかけてくるランナーはペースダウンしたらしい。40分くらいの差がついたらしい。少し気が楽になったが、「何とか25時間台でゴールだ。」そうやって目標を決めないと気持ちが切れてしまいそうだ。
平坦な市街地に到着。あと10km。もう少しだ。少し力がわいてくるが、それも長くは続かない。最後の兼六園までの直線。7km。なんて長いんだ。毎日昼休みに走っているときはあっという間なのに。走ったり歩いたり、半分くらいしか走れない。
最後のエイド、7時半に到着。あと3km。あとは歩いても25時間台では兼六園にたどり着けそうだ。それでも最後の気力を振り絞って、同じペースで行く。「近づいてきた気がしてきたぞ。」城下町っぽくなってきた。金沢市街地では、もう桜は散っていた。
兼六園下の交差点が見えた。交差点にはピンクのウィンドブレーカーをした大会係員がいる。「やった〜っ!」着いたぞ。信号待ち中に速くも感動がこみ上げてくる。
最後の上りを歩いて上り、兼六園に入っていく。係りの人がついてくれるが、僕は普通に上れず、ふらふらしながら上っていく。もう力が抜けている。かなりきつい坂だ。
金沢城など辺りを見回しながら、最後の直線、を歩く。この先に佐藤桜が待っている。「ついにたどり着いた。」しかも大きなトラブルなくほぼ予定通りに、だ。
佐藤桜の前には、たくさんの人たちが僕の到着を待ち構えていてくれているようだ。「走った方がいいですかね?」横の係りの人に聞いてみた。「走ってください。」そうか。でも、もう疲労を忘れるくらい感極まってきているので、みんなの方へ吸い寄せられるように走る。途中でアドバイスをくれた人たち、応援してくれた人たちもいる。感動してくれている人もいる。そして前を見ると、数多くのカメラが待ち構えている。それに応えるように手を振りながら、フラッシュライトの中佐藤桜へ。
午前8時前。ついに感動のフィナーレ。ゴールの証である佐藤桜へのタッチ。もたれかかるように。「やった!」ゴールタイムは25時間39分。順位はできすぎの1位だ。
冠をかぶせてもらい、いすに座りながら、たくさんの人たちから祝福の言葉をもらう。一緒に写真を撮って欲しいとか握手をして欲しいとか、新聞社の人から取材を受けたりとか、こんなことはこれまでに経験したことがない。「優勝ってすごいんだな。」予想以上だった。カメラには笑顔で手を振るし、何より、疲れているはずなのに自然と笑顔が出る。当たり前か。
しばらく余韻を楽しむが、次のランナーも来ないし体も冷えてきたので、宿泊施設である健康ランドに輸送してもらうことにした。自衛隊車で。なかなか乗れない物だが、あまり乗り心地がいいとはいえない。まさに輸送されているといった感じだ。車窓もよく見えないので、金沢の町並みを味わうこともなく健康ランドへ。汗を流して、早速倒れこむ。眠い。
昼過ぎには目を覚ます。とてもお腹がすいているので、お腹にたくさんの食べ物を入れ、再び寝る。金沢観光をするとか、ゴール地点に様子を見に行ってみるとか、そういったことはする気がしない。疲れきっていて動く気がしない。
夕方くらいになると、ようやく完走した人たちが戻ってきた。みんなで祝福し合う。そして夕食後はまた倒れるように寝てしまった。明日は記念植樹・閉会式だ。
5.大会翌日 (記念植樹・閉会式)
金沢から主催の郡上市白鳥町までバスで移動。途中、白川郷や荘川桜を通りながら。天気もよく、景色は美しい。そして、白鳥町では恒例の桜の記念植樹。高台にある郡上市合併記念公園。去年植樹した桜の木は花をつけている。うれしくなる。そして今年も、その横に桜の木をみんなで記念植樹。今回のさくら道2位、スパルタスロンでも日本人3位と近くで走った田処さんと記念撮影。年齢差2倍以上!?
続いて閉会式。表彰式やパーティーがある。去年ももらったが、(桜の?)木でできた完走証は何度もらってもとてもうれしい。優勝者と言うことで一番初めに完走証をもらう。女子の優勝は韓国人と日本人の2人が同時にゴールしたらしい。残り100kmくらい、ずっと一緒に走っていたようだ。
大会の講評。その中で、給水の摂り方をうまくやればあと2時間は縮められる、と厳しい励ましのお言葉をいただいてしまった。
表彰式の後はパーティー。ここでもたくさんの人に声をかけてもらった。そして、突然のスピーチ依頼。「何を話せばいいんだ。」何だかよく分からないけど、感謝の気持ちとかうれしい気持ちとか、ありきたりのような言葉しか出なかった。経験不足。これからこういう機会が増えることを願いたい。そのときにはもっと上手くしゃべれるようにしたい。
そして、別れを惜しみながら、途中お土産屋にもよりながら、バスで名古屋へ移動。今年もバス中で佐藤良二氏の物語のビデオを見ながら。大会の余韻を残しつつ、名古屋で解散。長いようであっという間だった今年のさくら道が終わった。
6.記録
・チェックポイント(CP)、エイド通過時刻・タイム
エイド | 場所 | 距離 | 到着時刻 | 経過時間 | 去年 |
---|---|---|---|---|---|
スタート | 名古屋城 | 0km | 6:12 | ||
No.6 | 岐阜市 | 30.0km | 8:44 | 2時間32分 | 2時間53分 |
42.195km | 9:45頃 | 約3時間30分 | 約4時間10分 | ||
No.13 | 道の駅「美並」 | 67.2km | 11:51 | 5時間39分 | 6時間39分 |
No.17 | 郡上八幡 | 85.3km | 13:21 | 7時間09分 | 8時間38分 |
100km | 14:40頃 | 約8時間30分 | 約10時間30分 | ||
No.21(CP1) | 白鳥町ふれあい広場 | 106.9km | 15:22 | 9時間10分 | 11時間22分 |
No.25 | ひるがの高原 | 128.4km | 17:57 | 11時間45分 | 14時間36分 |
No.28(CP2) | 荘川桜 | 143.0km | 19:22 | 13時間10分 | 16時間14分 |
No.34(CP3) | 道の駅「白川郷」 | 172.6km | 22.49 | 16時間37分 | 20時間02分 |
No.39 | 五箇山タクシー | 198.1km | 1:47 | 19時間35分 | 24時間12分 |
No.42(CP4) | 南砺市 | 212.0km | 3:29 | 21時間17分 | 26時間19分 |
No.44 | 道の駅「福光」 | 223.4km | 4:50 | 22時間38分 | 27時間46分 |
No.46 | 金沢市 | 233.7km | 6:07 | 23時間55分 | 29時間16分 |
No.50(ゴール) | 兼六園・佐藤桜 | 250.0km | 7:51 | 25時間39分 | 31時間41分 |
・服装、荷物の出し入れ
エイドNo. | 地点 | 受け取り | ゴールへ搬送 |
---|---|---|---|
スタート時 | デジカメ(FinePixZ1) 胃薬(パンシロン) ポケットティッシュ 携帯電話、1000円札 |
||
白鳥町(No.21) | 106.9km | 長袖シャツ(ユニクロ) 反射板テープ、軍手 デジカメ電池 |
|
ひるが野高原(No.25) | 128.4km | 長袖防寒着(Newbalance) ヘッドライト、反射板、胃薬 ロングタイツ、手袋 |
サングラス |
荘川桜(No.28) | 143.0km | 長袖薄手ウインドブレーカー(asics) | |
道の駅「白川郷」(No.34) | 172.6km | 上下ウインドブレーカー | ウインドブレーカー下 デジカメ電池(使用済み) |
道の駅「福光」(No.44) | 223.4km | ヘッドライト ウインドブレーカー上 |
・新聞記事
2006年4月24日(月) 北陸中日新聞 朝刊 一面掲載
こんなに載るんだったらもっといい格好をしておくんだったな・・・。
着替えるのが面倒だったのでみすぼらしい格好だ。
軽快に走っているように見えるけど、最後だけ走りました。
そこまでの兼六園内はずっと歩いてました。
まだ書き足すかもしれません・・・。
コメント等をくれるとうれしいです。他に知りたいこと、データなども。