第62回 福岡国際マラソン

2008/12/7 天気:曇り     福岡県

記録: 2時間38分43秒  (211位)     

 日本の男子マラソンで最高峰に位置する福岡国際マラソン。その門戸が広く開放されるようになり、自分くらいのレベルの市民ランナーでも、トップ選手と同時に同じコースを走れるようになった。それでも、AグループとBグループというように、トップレベルの枠はきちんと残されている。Aグループの参加標準タイムは2時間27分。その違いの大きなところは、Aグループのスタート地点が平和台陸上競技場で、Bグループのスタート地点が隣の大濠公園であるということだろう。平和台スタートは、まさに選ばれし者といった感じがする。
 もちろん自分はBグループでの参加ではあるけど、今年はラッキーなことに平和台スタートさせてもらえることになった。持ちタイム順でぎりぎり。自分の後ろには2人だけ。今回はその雰囲気を味わって走りたいと思った。

 大会前日の土曜日に飛行機で福岡に到着。なんと雪!?午後にはやんだけど、かなり寒い。当日の天気は大丈夫そうだけど、あまり寒いのはいやだ。
 前日はぶらぶらと、博物館に金印を見に行ったり、箱崎宮に行ってみたりと時間をつぶし、夕方に受付を済ませて交流の夕べという前夜祭に参加した。ただの立食パーティーだけど。去年はそこで食べ過ぎてしまったけど、今年は参加者が多かったためか、料理にあまりありつけず、でも食べ過ぎなくてよかった。そして早めにベッドに入り、しっかり睡眠を取った。

 当日、朝ちょっと散歩してご飯を食べて、競技場まで30分少々歩いて行った。やはり寒い。そして、控え室のプレハブでのんびりと過ごした。
 スタート1時間前くらいから、周りもアップを始めたりと慌しくなった。自分も軽くアップ。感触はまずまず。少なくとも重い感じはない。同じプレハブの大濠公園スタートの人たちは早めに移動したけど、自分達は比較的ゆったり準備できた。競技場の中は人が少なく快適。いやぁ、うれしい。ずっとこの時間を味わっていたかったけど、スタートのときは刻一刻と近づいてくる。
 ちなみに、競技場の外で同じ会社の陸上部の招待選手に偶然会えました。一緒に写真を撮って欲しいと言ったら、監督がシャッターを押してくれそうになったので、監督も一緒に入ってもらいました。

 

 12時になって、大型スクリーンには始まったテレビ中継の模様が映し出されていました。僕も映らないかなぁ。いよいよ12時10分にスタートです。5分前になってもまだみんな上着を着たままです。いいのかなぁ。3分前になって、ようやく整列です。自分は最後列。でもスタートが遅い自分には好都合。全部で100人少々でしょうか。いい感じです。

 

 ついにスタートしてしまいました。この雰囲気、何だかうれしくて気分良くて、気持ちいいペースで入ってしまいました。しかも、何となくぼーっと感傷に浸っているようです。ふと気が付くと最後尾。しかも前との差がどんどん開いていきます。これはまずい!トラックを2周ちょっとして1kmの表示でタイムを見ると4分近く。遅すぎる!さすがにまずいと思ってペースを上げました。でも、ぶっちぎりで離されても観客から温かい声援をいただけました。この舞台でTシャツにハーフタイツでいることだけでも異様なのに、それでいて遅い。ちょっと場違いな感はありました。でもとても気持ちよかったです。3周して外に出て行くときには少し寂しさを感じました。

 

 競技場から外にでても、沿道にはものすごい数の人が声援をくれていました。程なくして、大濠公園スタートの集団が合流してきました。さぁ、いよいよここからだ。大集団に吸収され、いつもの雰囲気に戻りました。それにしても、周りのランナーのゼッケン番号を見ると、自分のものとはかなり離れている。それだけゆっくり入ってしまったんだ。

 

 博多の街から西に遠ざかって行きますが、沿道の人並みは途絶えることがなくものすごいです。おまけに走りに集中できるので楽しいです。あとはこのペースが上がってくれさえすれば・・・。
 5kmを通過したところで時計をチェックしたところ、19分近くかかっていました。17分台で走り続けないと去年出した自己ベスト更新は難しいというのに。でもいいや。今回は結果がすべてじゃない。ここにまたかえって来れたことに意味があるのです。
 去年この大会でベストを出した3日後。肝臓の異常が分かりました。心臓の異常からくるもので、一時はもう走れないかとも思いました。それからいろいろ苦しみました。疲労骨折もしました。走ることについての考えも変わってきました。フルマラソンを頑張るのはもういいかな、とも思いました。でも、またここを走ってよかったです。気持ちいいです。またここでいい走りをしたいと思いました。また頑張ってみよう、と。
 10kmを通過しました。少しはペースが上がりました。でも、これで最後まで持つかは自信がありません。結構頑張って走っています。でも今日は頑張る!無謀な走りはしないけど、つぶれてもいい。博多の街へ戻って行きます。

 

 さすがにこのペース以上落ちることはなく、少しずつ前のランナーを追い越していけます。でもペースは上がらず、余裕もありません。給水を取るのも億劫だし、写真を撮るのも面倒に思えてしまいました。手がかじかんでき始めたこともありますが。
 20km前に繁華街をかすめます。また声援が大きくなって気持ちいいです。知り合いからも声をかけてもらえました。でも、早くも脚に疲労を感じ始めました。まだハーフ前、まずいです。でも、このままペースをキープして、行けるところまで行くしかありません。

 

 中間点を通過しました。まだ半分もあります。どこまで持つか分かりません。とりあえず流れに身を任せ、あまり何も考えずに走っていました。どこで走っていてもいい流れができているのも、こういう国際マラソンのいいところです。
 25km前の博多駅前までやってきました。まだ何とか食い下がっています。ランナーの流れから落ちていきそうになったと思ったらまた戻っていけたりと。

 

 博多駅から、今度は広い通りを遠ざかっていきます。広い通りを独り占め、という感じで気分はいいです。これが都市マラソンのいいところ。でも、スピード感が変わってしまい、あまり進んでいない気がします。疲労の上に手も冷えてきたし、あまり写真を撮ることはなくなってきました。今日はもう走ることに集中したい。そうするしかない。

 

 突き当たりを右に折れ、国道3号線を北東方向に進んでいきます。あとはこの行き帰り。風がないといいのだけれど。
 風は気になりませんが、ペースは落ちてきました。これ以上落とさないように粘ることで精一杯です。後ろから集団に抜かれます。普段はあまり後半で抜かれることがないのですが、今日はきついです。1km当たり3分50秒近くかかっています。キロ3分50秒ならば最後まで持ちそうな気がしますが、せっかくここまで来て安全運転では面白くありません。少し頑張ってみます。つぶれてもいいから。
 昨日地下鉄で来た箱崎宮を通過しました。九大も通過しました。その先、向こうからはトップ選手が折り返してきました。海外招待の選手が独走していました。知り合いの招待選手にも声をかけました。去年走ったので景色は覚えていますが、折り返しはまだ?といった感じです。

 

 たくさんのランナーとすれ違いますが、折り返しはまだです。こんなに前にランナーがいるんだ。このペースならそりゃそうか。時々顔がゆがんでしまいます。苦しいです。でも今はただ走るしかないと心に決めています。ここを走りきることで何かが見えてくると信じているから。

 

 31km過ぎ、ようやく折り返しました。すごい声援です。折り返すと、雲の隙間から差し込む日差しが少し眩しいです。さぁ、あとは帰るだけだ。向かい風も少しだけ。頑張るぞぉ!

 脚は少し重い。ペースは落ちないように必死に耐えるのが精一杯。でも頑張るんだ。なぜ?そう、やっぱり僕は走るのが好きだ。ついでに、頑張るのも好きなんだ。そういう人にとってはここは最高の舞台だ。だから頑張る。ここで頑張らないとどこで頑張る?初めてフルマラソンを走ったとき、自分の限界を見てみたい思いだったはずだ。今日の僕はもう限界か?いや、まだいける。こうして歯を食いしばると、まだ力が湧いてくる。あぁ、今日ここで走ってよかった。自分が何で走っているのか改めてよく分かった。そしてこれから目指す方向も。今日のあと残りはもう少し。そこからまた新しいスタートだ。

 

 この橋を渡ればまた市街地に戻っていく。あと残りは4km少々。やっとゴールまでの見通しがついてきた。でも、もう周りの声が頭に入らなくなってきた。ここまで走ることに集中しているのは初めてかもしれない。

 

 40km通過。あと2kmちょっと。細かい道を抜け、ついにお堀沿いの道に出た。ビルの間を抜け、日差しが差し込むようになったのでとても明るく感じる。沿道の人が増えたから余計にそう感じるのかもしれない。あと少し、あと少し、とは思うものの、さらにペースが落ちてきた。脚に力は入らないし、何よりこんなに呼吸が苦しいのは久しぶりだ。

 

 あと1kmちょっと。最後にあの坂を上って、競技場に入り、トラックをあと1周すればゴールだ。でも、この上りがきつい。普段なら全然大したことのない坂のはずなのに、がくっとペースが落ちる。必死で走り、ようやく競技場のゲートをくぐった。カメラを構えながら走っていると、いつものことながら周りからいろんな声をかけてもらえる。競技場内の時計は2時間36分を回っていた。時間かかったなぁ。でももう終わるんだ。この長い旅が。

 

 最後のトラック1周。スタートのときとは違った意味で感傷に浸っていた。とても長く感じた。ここから新しいスタートだ。今年もこの舞台を走れて本当に良かった。

 

 結局、ゴールタイムは2時間38分を越えてました。確かに結果は残念で悔しいです。気象条件はまずまず良かった気がしたし。でも今日は、とても素晴らしいものを手に入れられた気がします。今回は珍しくゴール後に突っ伏してしまいました。息苦しくて、目が回っていました。気持ち悪かったけど気持ちよかったです。意味が分かりませんね。自分の中でもまだよく整理できていませんが、とてもいい気分です。また来年もここに帰ってきて、今度はもっといい走りをしたいと思いました。

 

 感情が高ぶったままで書いてしまいましたので読みにくくなってしまい、申し訳ありません。



記録・5kmごとのラップタイム (自分の時計)

地点 通過タイム ラップタイム
0km
5km 18分59秒 18分59秒
10km 37分14秒 18分15秒
15km 55分38秒 18分24秒
20km 1時間13分56秒 18分18秒
(中間点) 1時間18分11秒
25km 1時間32分59秒 19分03秒
30km 1時間52分06秒 19分07秒
35km 2時間11分08秒 19分02秒
40km 2時間30分12秒 19分04秒
42.195km 2時間38分43秒